夜間飛行

限界外資リーマンの偏見

外資転職レポvol.2 クビ編

窓際おじさんという生き物をご存知だろうか。Windows2000とも呼ばれるらしいが、実際多いのはWindows500~1000くらいだろうか。

最近の意識低い系の若者の間では社内FIREを目指す動きもあるらしい。

外資に転職して判ったことだが、窓際おじさんはしがみつくだけの価値がある、社員の人権が(過剰に)保護されている優良企業にしか生息できない妖精のようなものだ。清流に生息する鮎であり、豊かな森を象徴するコロポックルだ。

もしあなたの会社に窓際おじさんがいるならば、もしかしたら転職は考え直したほうがいいかもしれない。

 

外資と言っても日本の会社なんだから、そう簡単にクビにはならない」

こんな言葉を聞いたことがあるかもしれない。嘘である。

 

厳密にはクビにはならないかもしれないが、外資ではパフォーマンスの低い社員や上の覚えが悪い社員はかなりスピーディーに退職に追い込まれる。

外資では窓際おじさんが発生しないのではない。生息できないだけだ。

 

社員の人権が中途半端に守られており制約の多いJTCと違って、外資系企業では物理攻撃が比較的容易なので、精神的にネチネチやるのではなく「ボーナスを支給せず、給料を大きく下げる(各種手当がないので大ダメージ)」もしくは「業務改善プログラム(という名の退職勧告)に放り込む」などの物理攻撃がみられる。

外資歴が長い人は「よくあること」だと平然としており、下手にしがみつくことはなく淡々と転職活動に入っているので重く受け止める必要はないと自分に言い聞かせている。怖い。常に「頑張らなければ」「結果に繋げなければ」「どう思われているんだろう」という不安とプレッシャーがある。

 

また管理職や役員・経営陣レベルではシンプルに「明日から来なくていいよ」といい、着の身着のまま放り出すパターンを取るようである。情報漏洩を防ぐためなのだろうが、こうなるとある日急にオフィスから消え、私物の荷物が段ボールに梱包され、メールも電話も通じなくなる。外資では直属の上司との関係が非常に重要なのだが、こうなるとせっかく培った信頼関係も進めていたプロジェクトもパァである。

外資転職レポvol.1 給料編

三年前、新卒で入った会社を辞めて外資系企業に転職した。

一つの会社には最低三年勤めよという、まことしやかにささやかれている謎基準の三年を迎えたが、なんとかまだ勤務を続けられているので記録を残そうと思う。

なお三年勤務を続けられたという自分の成功は(仮にこれを成功しているといえるとして)完全に運によるものである。他の人の輝かしい転職レポ、あれも結局最後は運なので、話半分で読むべきだ。

 

外資系企業は「外資」の一言で乱暴にひとくくりにされて語られがちだが、当然本社のある国によって雰囲気が違い、日本での歴史の長さで雰囲気が違い、業種によって雰囲気が違う。なので転職の参考にするなら同じ国・同じ業界・同じ規模と歴史で比べなければ参考にはならない。

よく厳しい生存競争を勝ち抜く高給エリートとしての「外資」で語られているのは英米系の金融・コンサルあたりではないだろうか。

自分が勤めているのは非英語圏の欧州系メーカーなので雰囲気はイメージより緩いし、給料はイメージより低い。また本社が英語が苦手なことに定評のある国にあり、社員は基本非ネイティブなので英語能力もそこまで求められなかった。

この先も非英語圏の欧州系メーカーの内情を語るので、その点にご留意いただきたい。

 

  • 大きな不満がないなら外資に転職しないほうがいい

外資に限った話ではないが、今現在差し迫った不満がない人は絶対に転職しないほうがいい。とくに比較的安定した企業に勤めているなら「なんとなく将来が不安」「成長したい」等の理由で出ていくのはやめたほうがいい。新卒でも行かないほうがいい。

なぜか。

後で詳しく述べるが、外資日系企業と比べてかなりクビになりやすい。そして日系企業より上司ガチャが重要になる。人事評価は日系企業以上に直属の上司の裁量が大きく、本社との物理的・心理的距離が遠いため監査制度も整っていない。上司ガチャに外れた場合(もしくは運悪く入社早々に部署ごと人事整理の対象になった場合 ※まれによくある)、早々に退職せざるを得なくなり、短期間の退職によって次の勤務先のレベルを下げざるを得なくなり…といった悪循環を回してしまう恐れがある。最低三年我慢しろというが、我慢もクソも外資は三年待たずに簡単にクビになるのである。

またベンチャー的規模の外資には新卒もしくは第二新卒で入社するのもお勧めしない(外資というよりベンチャーの話かも)。単純に教育制度がなく、日本のビジネス市場で働くにあたっての最低限の常識が身につかないからである。そもそもうちの業界では新卒採用をしていないところが多い。

 

  • 給料について

日系企業と比べると高いが、各種手当がごっそりなくなった。また福利厚生があったとしても日本の文化・実情にあってないためまったく恩恵にあずかれなかったりする。

会社によるとは思うがウチの会社ではボーナスは完全に数字で評価され、定められた目標売上(たいていかなり高い)を達成できなければ頑張っていようが優秀でいようがその年は完全に0である。また自然災害や他部署のトラブルによる未達などのやむを得ない事情も一切考慮されない。

逆もまた然りで、さぼりまくっている不良社員やそもそも出社していない社員でも数字さえ達成されていれば、ボーナスはしっかり出る。

年棒部分に関しては昇給テーブルのようなものが存在せず、業績によっては減給もあるので、将来の給与の予測がつかない。また同じ部署で同じ仕事をしていても契約内容が違ったりするので、社員間ではお金の話はタブーな雰囲気がある。

いつもパンツ一丁だった父の思い出

初めての記事がパパの話なんてとんだファザコン野郎だと思われても仕方ないが、ネタがないのだから仕方ない。

 

さて私の父はほとんどいつもパンツ一丁だった。くたびれた白のブリーフである。彼のブリーフは破れるまで交換されることがないため、尻の部分が薄くなり、いつもややスケていた。とんだハレンチおじさんである。

幸か不幸か父はサラリーマンではなく自営業だったため、家はおろか仕事場で何を着ようと父に注意できる者は誰も居なかった。家族の言うことを聞くような人でもなかった。もう誰も彼を止められない。というわけで夏になると、父はブリーフ一丁で仕事場を徘徊していた。

 

不思議なことに、夏場になるとブリーフおじさんが徘徊するという悪条件にも関わらず、父の経営する店はそれなりに繁盛していた。少なくとも生活に困った覚えはない。

当然ブリーフ姿でうろつく店主に対し苦言を呈する客も居たが、クレームは主に父ではなく母につけられた。ブリーフ一丁で人前に出るおっさんにまともに話が通じる筈がない、という判断がくだされたのか、単純に常軌を逸した姿のおっさんに話しかけるのが嫌だったのかはわからないが、ご明察の通り父は話の通じない変人であり、ブリーフ姿での徘徊は敢行された。

 

今私は地元を離れ、父とは何年も会っていない。猛暑の今年、還暦を過ぎた父はやはりスケスケブリーフ一丁なのだろうか。